ここではとても珍しい事である。
私が、いつ消えてもいいように、縁を薄く。新しい縁はつくらない と心がけているからであろう。・・・それでも挨拶する人は増えてゆく・・・
Sさんは、もう30年来の知人である。年に一度会うか会わないかと言うほどの。
2、3年前に、「途中で転んでしまって・・・」と顔を擦りむいたような様で現れたので、「お薬師さんにしっかりお参りしないといけませんね」と言った。
それを、勘違いしたらしく、久しぶりに現れた挨拶が
「ここは金がないと来れないところだから・・・」というのである。
冗談を言うほどの間柄ではない。お賽銭を要求されたと勘違いしていて、それを忘れなかったので、顔を出しにくかったのであろう。
花をもって来た。しばらく茶飲み話をして、お賽銭(紙幣)を置いて帰った。
最初話し始めた時は何を言っているのかよく聞き取れなかったが、終わりの頃は、すこし分かりやすくなった。話慣れてきたのである。
普段人と話すことが少ないのかもしれない。あれでは、勘違い・誤解が起こるだろうなあ、と思った。人に誤解された話をし、愚痴をこぼして(多分落ち着いて)帰ったのである。
今年85歳だと言っていた。元気である。お寺に来ると落ち着く、オレもこんなところに住みたいなあ、と羨ましがられてしまった。
根無し草の仮住まいなのだが・・・羨ましいかねえ