『殉死』文春文庫

昨日、借りている本を返しに行ったついでに借りてきた。司馬遼太郎氏の書かれたものである。170ページばかりの薄い本である。

 

軍神と仰がれた乃木将軍。先日読んだ『明治大正見聞史』には、ジャーナリストの目で見た、殉死前後の事が書かれてあった。多分これが、一般大衆の感想に近かったのではないだろうかと思いながら、読んだ。そして、翌朝の新聞に大見出し四段抜きの「軍神」の記事を見て驚いたことを書かれている。第一線のジャーナリストが、目を通したすべての新聞に「軍神」を見て驚いた、と。当然上からの圧力があったと匂わせているのである。

新聞偏向はこの頃には明らかだった。皮肉を言うような感じで批判は可能だった・・・

 

確か、夏目漱石の書いたものにも乃木将軍に触れたものがあった。読んだのはずいぶん前(4、50年前)なので内容は覚えていないが、「軍神」の文字に違和感を持ったようなことが書かれていたような、かすかな記憶がある。

 

返すだけで、借りるつもりはなかったのだが、いつもの習慣で書棚を見て回っているうちに、つい借りてしまった。

 

まだ読む元気は出ない。しかし、薄い本だから、期限までには読めるのではないかと思っている。