引き続き 歯 の話

昨日あたりから歯の存在を忘れている。有難い。

この前切開したところが癒えて来ているのである。

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前歯はグラグラになっていて、近いうちに抜かなければならないだろう。

 

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ボクは入歯を入れる方を選んでしまったが、以前会った或るおじさんは入歯を入れない方を選んだ・・・・

その人の言い分に、味が変わってしまって美味しくない

そのものを美味しく頂くには、入れ歯はダメだ、と言っていたから

その方も一度は入歯を入れていたのだろう。

 

そのおじさんは私たちと食事をするとき、小さなまな板と包丁(これは果物ナイフほどの大きさのものだった)を出して、それで自ら細かく刻んで、口に運んでいた。

見たところ歯は一本も残っていないようだった。

 

当然食べるのは遅くて、皆の半分も食べられないのだが、実に楽しそうで、とくに若い人と一緒に頂くのが望みだったようで

この日のご馳走は全てこのおじさんのご供養であった。

 

確か大きな寒ブリ一匹とお酒などを持参であった。

 

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確かに。今の自分の入れ歯が何に一番似ているかと言えば、ボクシングのマウスピースである。

 

味もそうだが・・・薬を飲むときに、すこし難儀をする。あと数年後には、つけたままでは薬は飲めないのではないかと思う。

 

好い事は、何かを口に入れるたびに外して洗浄し歯を磨かなければならないので、その煩わしさから、間食をしなくなったことか。

よく本を読みながらスナック菓子を食べていたのだが、それが止んだ。

 

喋るとき舌がちょっと引っかかって発音が乱れるので、ついつい黙りがちになる。もともとあまりしゃべらない方なのだが、ますます口が重くなってきた。

 

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痛くて、読書はすすまなかったのだが、痛みが消えて、また本を手に取るようになっている。

今読んでいる本は何冊もあるのだが、

吾輩は猫である』(新潮文庫

柳田国男』(ちくま日本文学)

フーコー入門』(ちくま新書)など。