第一冊がまもなく終わる。清盛の長男、重盛が亡くなった。
・・・どうも清盛はブレーキのないブルドーザーのような感じで、他を顧みず、家門の繁栄にひた走ってしまうようだ。長男の重盛が、ブレーキ役を果たしていた。
それが亡くなってしまい、暴走する。
ほとんどの要職を平家一門で独占しようとして、バランスをとろうと考える旧勢力を、邪魔者としか見えなくなっている・・・当然、身近には、イエスマンしか居ない。
なお。個人的な興味で、注目したところは:
この第一冊では、子どもが生まれるという時に、悪霊が近づかないように、祈祷をするのだが、それが、実に大掛かりで、あまりの規模に少なからず驚いた。
確かに乳児死亡率は相当高かったと何かで読んだことがあるが・・・密教が明治ごろまで隠然たる力を奮っていたのがよく理解できる。
また、鬼界が島(鹿児島と屋久島の間にある硫黄島)に3人の高官が流されたのだが、足掛け3年後に、恩赦で2名は許されて京に帰った。しかし、1名は恩赦に与ることができずに、硫黄島で亡くなる。
彼一人だけ、なぜそういう目に遭うのか、以前読んだときによく分からないで気にかかっていたのだが、今回、作者がどう考えているかが分かった。
俊寛僧都。かれは出家して高位の役職にあり、信者からの布施物で生活しながら、報いる功徳を積まず、心に恥じることもなかった。信施無慙の罪を得たのである、と。
・・・重盛が死んでしまい、これからの清盛にはブレーキがない・・・どうなってゆくのか。