『平家物語』 5

【おもうに、その寝耳に水の遷都は、できるだけ内戦になることをさけ、京都の古めかしい伝統と手をきって、木の香りもあたらしい福原を中心に、日宋貿易をめざましく発展させることによって、七珍万宝ひとつとして欠けたもののない、ゆたかな日本をつくりあげたいといったような、いつものかれの平和主義の実践にすぎなかったのではあるまいか。】

 

これは、花田清輝さんの『小説平家』の中の一節である。

なるほど。内戦になることを避けたいと考えたわけか。・・・古めかしい伝統と手を切りたかったというのは、その通りだろうとボクも思う。

平将門を滅ぼした田原の藤太(藤原秀郷)と平貞盛については、随分前に、誰かの小説を読んだことがあるが、確かに、清盛はその貞盛の末裔(六代目)であるから、平和主義だったかもしれないとは思うが、今読んでいるところからだけでは、そうは思えない。

切れやすいおじいさんという感じである。

 

尚。この『小説平家』は、平家物語の作者は誰かということを書いているのだが、それによると、小説が先で琵琶語りは後、ということになる。たしか、柳田国男さんの『物語と語り物』では、語りが先ではないかという事であったのだが。

 

巻一の祇王と佛御前の話などは、話が先にあった(あるいは、別にあった)ような気がする。俊寛僧都と有王もそうである。

ずいぶん昔のことだから、いろいろ穿鑿する話題があるのだろう。

 

ボクはあまりにも何も知らないので、たまたま持った疑問から、この2冊の本を読んだのだが、これ以上深入りするつもりはない。

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