『人間ゲーテ』を読んでいたら次の言葉に出会った。p70
・・・あのひとから逃げ出そう、思いきって行ってしまおう
そうは思ってもすぐにまた、私はひきもどされてしまう。
魔法の糸につながれて、断ち切ろうにも断ち切れない。
おてんば娘は私を いやおうなしにつかまえる。
魔法の園にとじこめられて 言いなりになるほかはない。・・・
ゲーテはそうとうの女好きであった。
これを読んでいて私は老師の言葉を思い出した。
みんな夢だよ。悪い奴に追いかけられて必死で逃げて逃げ切れないと思ったときに目が覚める。
女を抱いていい気持ちで時を過ごしてまだ未練が残るのだが、目を覚ます。
目を覚ませば、いずれにしても、おのずから無事だよ。夢に過ぎない。
こんな話を聞いていた時、ボクは、人生が夢なら、選べるなら、いい気持ちになる方がいいな、などと思ったものだが・・・
青年期には、誰もが、形は様々だが、何かに強く執着して、それを振り切る力を持たない、のかもしれないな。