『平家物語』 3 (5/8 添削)

青空文庫で、尾崎士郎現代語訳の『平家物語全十二巻』が完結し、(タダで)全巻を読めるようになったようである。

ボクは今岩波文庫で読んでいるのだが、学力不足は如何ともしがたく、細かいところが曖昧な理解のまま読み進んでいるので

こちらを参考にさせてもらおうと考えているところである。(現代語訳だけでは何となく物足りない)

 

柳田国男の『物語と語り物』の中に、「有王と俊寛僧都」という章がある。

これを読んでみると、鬼界が島というのは、九州の先の硫黄島である、というのは、一つの説で、ほかにも考えられるところは幾つかあって、西日本から九州にかけて、有王と俊寛僧都の墓とか塔とかいわれるところは、何か所もあるという。

この話自体が(平家物語本文を読む限り)、有王或いは有王の縁者か、彼から話を聞いた僧都の娘、からしか、後世に話が伝わるはずもない。平家が滅びて、公的記録の多くが失われてしまったのちには、そのあたりからの伝承という形でしか、伝わったはずもなく、それが、平家物語に纏められるまでには、いろいろあったのだろうなあ・・・本に採用されなかった候補地は多い。今まで何らかの縁があって、伝える人がいたから、伝ってきている・・・

 

 

これに関連して:琵琶法師というのを考える。もう30年ほども前だが、佐世保のお寺に棚経の手伝いに行っていた頃、九州のどの辺だったか、あるお寺の住職がやはり手伝いに来ていて、話を聞いてみるに、かれはどうも琵琶法師であるらしかった。

今考えると、棚経のあとに彼のお寺を訪ねて弾き語りを聞かせてもらわなかったのを惜しいことをしたと思うのだが、当時は、珍しい人も居るものだなとちょっと思っただけで、お寺を訪ねようなどとは考えもしなかったのであった。

・・・ボクよりは一回りほど年上の話好きのひとだったが、名前も聞かなかった・・・

(価値・ものを)知らぬという事の愚かさよ。

 

注記:YouTubeに山鹿良之さんの琵琶語りの映像がある。なかなか聞きごたえのある語りです。(この山鹿さんというのは、岩波新書『琵琶法師』によると、”最後の琵琶法師”らしい。)