『平家物語』

平氏にあらざれば人にあらず、といわれるほどに、平氏一門が栄え、

その陰で、出世を妨げられたと思い鬱屈した人々が、集い集まり

酒の席で、瓶子(へいし)を倒して、憂さを晴らしていた・・・

 

あるとき、それが清盛入道に知られることを恐れて、密告する人が現れ

大きな騒ぎになる。

いまにも、攻め入られると恐れた入道は、先手を取ろうとして、手兵を動員し

・・・・

 

この騒ぎを見ていると、スパイなどはまだそれほど活躍していなかったのかと思うと同時に、清盛の老化を疑う。

 

50歳になった時に病に倒れ、出家。入道と名乗って、生きながらえた。

(出家の戒を受ける功徳によって延命の効果があると信じられていたらしい)

 

それがどんな病かは知らないが、かなり怒りっぽいようだから、高血圧かも知れない。

(戒を受けて回復しているので心臓病やガンの類ではないだろう。)

 

しかし、この辺りの清盛の対応を見ていると、事態を悪化させて、平氏の没落を早めたとしか思えない。(蟻の一穴という言葉が浮かぶ)病が治ったというより、膏肓に入るという言葉が浮かぶ。

 

徳大寺の厳島詣(p226~232)などを読むと、ゴマすりには実に甘い。感激しやすい。

 

読んでいて、ずいぶん昔に読んだことがあるのを思い出した。

しかし、ほとんど何も覚えてはいない。かすかに読んだなあと。

あれは何時の頃か・・・

 

・・・・・・・・

 

先日、部屋の中で、イヌの吠え声と人の怒鳴り声を聞いた。

外に出て見ると、老人が大声で、家の奥さんに怒鳴っている、近くで犬の吠え声がしている。

 

散歩で通りかかった老人がイヌに吠えられた。ビックリして、しかりつけたが、ますます吠えられる・・・その時そこに家の中から奥さんが姿を現し、老人の腹立ちは奥さんに向けられた、という事のようである。

 

それ以上の事はボクには分からない。以下は推測である。

 

この老人は、現役時代はそれなりに部下が居たりして、敬われていた。しかし、現役を退いて、日がたつにつれ、人も遠のき、家のモノも尊重してくれなくなる(邪魔にされる?)。身体もいうことをきかなくなり、うつうつと楽しまなくなる。・・・・

犬にまで疎んじられてしまったか!

というところであろうか。

 

疎外感、これの克服は簡単のようで難しいことかもしれない。

 

清盛入道が天下の半分を手中に収めながら、安心できなかったのは、病いとしか思えないのだが、それは持てる者誰もが罹る病なのだろうか

それとも、たんなる一般的な老化現象なのだろうか