『戦争における「人殺し」の心理学』 読みました。

内容はハードだが、文章は読みやすい。

今のボクにしては、一気読みの部類かな。

 

アメリカで1996年、日本で1998年に翻訳出版されている。文庫本は2004年。

 

頭の片隅に、戦争は人殺しではない、という言葉が浮かぶので、当時ある程度話題になったのかも知れない。あるいは別の本が話題になったのか・・・。

 

テーマの一つは、【洗脳への警告】と言える。

第二次大戦までは、動員された兵の、15~20%しか発砲していないことが分かったという。80%の人は動員されても、引き金を引かなかったらしい。

これをもっと効率よくするために、教育プログラムが開発され、朝鮮戦争では50%、ベトナム戦争では90~95%が発砲するまでになった。

要は、人殺しを容易にする教育(洗脳)技術が洗練されてきたのである。

 

もともと人殺しなど殺されてもしないような人に、人殺しをさせる。その技術が進み、何が起こったか。人を殺した後で、後遺症に苦しむことになった。

いまでは、その後遺症に苦しむ人の、苦しみを軽減する方法も分かってきているが、それでも、死ぬまで苦しむ人も多いという。

 

この洗脳技術というのは、今では、テレビゲームとかVRとかに氾濫している。

軍隊では、殺せと命令する指揮官と、その命令に従う兵が居る。(目的を逸脱することはほとんどない)

しかし、巷に氾濫している洗脳技術には、指揮官が居ない。

という警告で、終わっている。

 

もう30年近く前の本である。・・・ヒトを殺すなど出来ない人に、人殺しをさせる方法というのはもっと巧妙に洗練されてきているのだろうなあ、と思わされる。

また、後遺症のことを考えると、高くつくので、殺人ロボットの開発も進んでいるのだろうなあ、と。

 

読んでいる途中で思ったことは、第二次大戦の後、復員してきた兵隊さんたちのケアはどうなっていたのだろうか・・・国ではどういうことをしてくれたのだろうか。

いままで考えたこともないので、全く知らないのだが。