『ローマ帝国衰亡史』 6   (21日添削)

第21章は、アタナシウスという教父が中心に展開する。ボクにはもう一つ分かりにくかったのだが、というより、ほとんど分からないまま読み進んだのだ(2回読めばずいぶん違うだろうが、今はその元気がない)が、

アリウスという人(アリウス派というのは後に異端として排除される)の考えは、分かりやすい、かつ、妥協的。アタナシウスの考えは分かりにくい、かつ、絶対に人に譲らない、のだね、この人は(今のイスラエルの指導者を思い出してしまう)。

しかし、アリウスの考え方だと、イエスは神ではなく人間(被造物)と考えるので、やがて、キリスト教の神様もイエスも、神様の一人として、ローマの多神教世界のなかに収まってしまったような気もする。日本に入ってきた仏教が、日本の神様の世界に取り込まれて、たくさんの眷属を引き連れた力の強い神様になって納まってしまったように。インドでお釈迦さまがヒンズー教の神様の一人になってしまったように。

そうならないで、一神教的な闘争に勝利したのは、アタナシウス(とその一派)の考えの勝利と言っていい。(闘争は黙示録的というか一歩も引かない)

 

「ホモオウシオン」と「ホモイオウシオン」という言葉がキーワードとして出てくるが、「ホモオウシオン」というのは、イエスと神は同質という考え方(一体。アタナシウスの考え)。「ホモイオウシオン」というのはそれの否定(イエスは被造物。アリウスの考え)。

こういう言葉が出てくると、あまりにも似ている言葉なので、最初は同じ言葉と勘違いしてしまって、読んでいて意味が分からなくなり、混乱してしまった。(しかし、言葉がこれほど似ていて、相容れないで争う、というのは、なんか象徴的だね。人間が言葉を使いだしてから争うようになったのではないかと、つい考えてしまう)

 

似たようなことは人名にもあり、本当に混乱する。(たとえば;コンスタンティヌスとコンスタンティウスとコンスタンティン)漢字名を付けてもらえると有難いと思うところである。

 

アタナシウスの考え方だと、唯一神とイエスは同質(同じ)なので、八百万の神々とは相いれない。アタナシウスの考えがキリスト教の正当として帝国に受け入れられたときに、結局、ローマの神々は、すべて淘汰されることになる。

 

そういう流れの中に、立ちふさがったのが、ギリシャ的教養の持ち主であったユリアヌスだったが、彼は若くして(30代半ば)戦場に倒れる。

キリスト教側からは、背教者と言われるが、かれはもともと多神教の伝統を継ぐものだったようである。