『一茶』

藤沢周平 (文春文庫)

 

半分をすこし過ぎたところである。知人の露光が野垂れ死にをし、いよいよ自分の身の振り方を真剣に考えなければならなくなってくる。

 

露光というのは、御家人であったが、家を出て、俳諧師としてそれこそ徘徊して路傍に倒れた。立派な構えの家があり、美人の奥さんが居たらしいが、そこを飛び出して、戻らなかった。訳アリなのだ・・・

 

一茶は農家の出だが怠け者で、家に居られなくなり、江戸に奉公に出される。しかし、長続きせず、紆余曲折はあるが、俳諧師の道に入る。そのきっかけとなったのが露光である。一茶の才能に最初に気づいた人である。

 

野垂れ死にはしたくない。父が残した証文をもって、弟と争い、遺産相続(折半)を勝ち取るか・・・しかし、修羅場になるだろうなあ・・・やりたくないが、野垂れ死にもしたくない、江戸にいつまでも居るのは難しい・・・江戸に出て30年余り過ぎての感想である。

 

一茶は、たしか学生の時、「おらが春」が代表作と習ったが・・・いまのところ、キビシイ冬のような生き方である。

秋寒むや行先々は人の家

木つつきの死ねとて敲く柱哉

 

確か藤沢周平が『暗殺の年輪』で直木賞をとったのが、この50を目前にした一茶と同じ年ごろではなかったか

 

・・・・・

 

新型コロナウイルスワクチン無料接種券が先日送られてきた。ボクは、そのまま放置していたが、昨日散歩の途中で出合った知人は、

早速ネットで申し込もうとしたのだが、上手くできなかった。それでかかりつけの医者に電話したら、もう7月いっぱいまで予約が入っています、という応えであった。

と話していた。

まだ接種券が送られてきて2,3日なのだが・・・電話が殺到したのか、その医院の割り当てが少ないのか・・・

・・・動いてみれば、予約はともかく、話題にはなるな。年取ると、話のタネがすくなくなる。

これは格好の話題だ、ということなのかな

 

もう半そででもいいくらい。春というより、夏、初夏であろうか