覆水盆に返らず

ローマ帝国衰亡史』を読んでいて、この言葉を強く思う。

まあ、歴史など、歴史に限らず人間の営みには、この感想はつきもののようにも思うが。

民主制が、貴族制に変わってゆき、軍人の世界に変化し、専制主義に変わってゆく。確かに、軍人は文民に統制されるのは出来ることなら、止めたい。やめる機会があれば、武力を背景に、止めるだろう。そうすれば、階級制の軍人は当然、専制主義的である。

伝統的な多神教が、一神教に侵食され、その弾圧をすると、元の宗教に戻るのではなく、無神論者が増えてきて・・・無神論の蔓延るよりはまだマシということで、弾圧の手を緩めるしかなくなる。そうすると、マシなどころか、伝統的な宗教は淘汰されてしまう。さらに、一神教の中の、セクトの争いが続く。異端の排除が続く。

どこかで、元の平和な、穏やかな世界に戻りたいと思っても、それは叶わない。

 

未来がどんな姿でやってくるのか予想できないが、どうやら、望んでいるような姿ではないことは確かなようである。

 

第十四章が終わった。ディオクレティアヌスがなくなった。

305年に、やるべきほどのことはすべて終え、病気がちであったこともあり、自ら皇帝の座を退いた。・・・亡くなるのは316年である。

退位して、見たくないものを見て、最後は自殺をしたとも言われている。

 

扇の要の位置に自分がいたことを知ったのは、退位した後であったということか。

あの賢帝にして、この最期である。    合掌

 

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年末である。やはり身辺の掃除ぐらいはしないと・・・落ち着いて読書というのは難しい。