エピクロス

【自然の目的(快)にかんして(貧しく)、むなしい臆見にかんして富んでいる人を見出すのが、普通である。というのは、愚かな人は、だれも、持っているもので満足せず、むしろ、もっていないもののために苦しんでいるからである。ちょうど、熱病にかかっている人が、(病気の)悪性のためにいつものどが渇いていて、正反対のものを求めるのと同じように、霊魂が悪い状態におかれている人も、つねに、あらゆるものを必要とし、貪欲のために、移りやすい気まぐれな欲望に落ち込む。】p121

 

【幸福と祝福は、財産がたくさんあるとか、地位が高いとか、何か権勢だの権力だのがあるとか、こんなことに属するのではなくて、悩みのないこと、感情の穏やかなこと、自然にかなった限度を定める霊魂の状態、こうしたことに属するのである。】p125

 

【飢えないこと、渇かないこと、寒くないこと、これが肉体の要求である。これらを所有したいと望んで所有するに至れば、その人は、幸福にかけては、ゼウスとさえ競いうるであろう。】p92

 

エピクロス 教説と手紙』(岩波文庫)からの抜粋である。

これは、『ギリシャ哲学者列伝』の最後、第十巻と同じものらしい(解説による)

エピクロスは沢山本を書いたようだが、残っているのはこれだけらしい。

 

彼は、西暦前342~272頃の人である。アレクサンダー大王が亡くなったのがBC323である。彼によって世界の様相は、ギリシャ全盛の頃とは大きく変化したのだが、彼が後継者も指名せずなくなったので、領土は実力による分け取りとなり、それからは相当の混乱が続いたようだ。

民主制から独裁制へかわり、貧富の差が激しく、人も個人主義的にならざるを得なかったようだ。

中国の戦国時代に老荘思想が生まれたように、エピクロスの哲学が生まれた

 

この時代のことを少しだけ調べたのだが、なんか、これからの(現代世界の)未来にダブってくるような感じである。

 

・・・。現状を変更したいと願う人も少なくないのだろうが、日本に住むものとしては、それはより住みづらい世界になるだろうと予想されるので、今が最高とは思わないが、現状変更を阻止する側に回らざるを得ないのだろう と。