『罪の声』(講談社文庫)

 

これは、『グリコ・森永事件』(未解決)を題材にしたフィクションである。

たまたまビデオを見て、良くまとめてある映画だとは思ったが、内容そのものがよく分からないので、この本を読んでみようと思った。

 

ボクは、30歳で出家してから、数年間新聞・ラジオ・テレビ等と無縁の生活をしていた。その延長上で、今でもそういう物とはほとんど無縁である。たまたま新聞を手に取っても(姉が新聞購読者である)見出しを見る程度である。

だから、当時、ボクは兵庫県に住んでいたのだが、この事件については、ほとんど何も知らない。

ただ、“キツネ目の男”の似顔絵は見たことがあった。

そういう無知なボクが映画を見ても、なんかよく分からないところが多かった。

ビデオを、二度か三度か見ればもう少し分かるのかも知れないが、それよりも、元になった本を読んでみようという気になった(ボクは本のほうが好きである)

 

古本と言ってもそんなに古くは無い。2019年5月発行の文庫本を読んでいる。

 

全530ページの内の270ページあたりを読んでいるところである。

ボクは既に映画を見てしまっているのだが、見ていなかったらもっと面白かったかもしれないと感じる。が、ボクのようにほとんど事件そのものに知識がないと、ただの推理小説を読むのと同じことで、推理小説としては筋が込み入っていて、すこし難しいかもしれないとも思う。

 

主人公は2人。30数年後に事件を追調査している新聞記者と、

幼いころに脅迫文を読み上げさせられた(その記憶は失ってしまっていたのだが偶然そのことを知る)男。

 

今、半分ほど進んだところで、まもなく二人は出会いそうである。(実際は370ページぐらい。まだ100ページもあとである)

 

テーマは、事件そのものから、この事件に翻弄された、幼い子供(脅迫文を読まされた3人)のその後へ移動する。

 

 

実際には、誰なのか、今もって闇の中なのだろうが・・・。有り得る話である。

新聞記者の日常とか、事件に翻弄された子供の仕事(テーラー)とかも、よく描かれている。