読むのは本当に久しぶりなのですが。
何がいいのかというと、一概には言えないところもありますが
普通の人が、特別の専門知識なしに、読んでだいたい分かるというところでしょうか。
(読者のレベルに下げて書いている、というのとはずいぶん違う。一所懸命考えて考えて答えを探っている、それが伝わってくる。)
『人間の由来』これは、長い間忘れられていた(その理由はいろいろありそうですが今は触れない)らしいが、性淘汰の考え方が注目された(1960年代だったかな)ときに、復活した、というような話をどこかで読んだ記憶がある。
実際、日本で久しぶりに(出版直後に一度出たようだ)この翻訳が出たのは、1999年である。
ボクは今第三章に差し掛かるところだが、第二章は ”人間と下等動物の心的能力の比較” で、ここには 人間と動物の連続性が当然のこととして語られている。犬が夢を見るらしいことはボクも知っているが、ボクが愛犬を見ながら想像していたこととほとんど同じようなことをダーウィンも考えていたと知ることはとても嬉しい。
キリスト教社会では、キリスト教徒と異教徒、人間と動物の間に大きな断絶を設けている。そういう伝統の中で、こういう連続性を信じていたというのは、科学的ではないというのかもしれないが、ボクなどはむしろ、目の前のことをよく見ている、ということで、未知のことを知ろうとする心がよく現れているように思う。
ダーウィンの考えには、今から見ると、間違いも多いようである。
しかし、当時手に入る情報を駆使して、あれこれと推理していく姿は、推理小説よりも面白い。
・・・ボクよりもちょっと(ちょっとどころではないのだが、そうは感じさせないところが彼の偉いところだ)頭のいい人が、ボクとあまり違わない情報を元に、自分の頭で考え抜いて、推論を重ねてゆく。それを見ながら
時々、ボクのほうが、彼の知らない情報を少しだけもっている(何しろ彼は150年ほどまえに亡くなっているのだから)ので、当時はそう考えるしかなかったのか、などと思う。・・・
『種の起源』は下巻に入ったところです。
・・・・・・
ずいぶん日が長くなりました。