中公文庫に入ったのは2014年11月。ボクが購入したのは新本で、2021年第4刷。
本作品は『中央公論』誌上に1963年から5年にかけて16回にわたり連載された。
今日届いたところで、まだ数十ページを読んだにすぎないが、なかなか面白い。
・・・・・・・まだ読み止しの本がいっぱいあるのに・・・また新しい本に手を出してしまった!
「東亜百年戦争」という発想で書かれている。1840年ごろ、隣国でアヘン戦争なるものが勃発し、日本近海にしきりに外国船が出没するようになってから、日本が負けるまでの100年。日本はたった一つの戦争を戦ったのだという。
たった一つの戦争とは何か。
答えはこれから出てくるのだろうが・・・侵略に対する防衛戦争!!! これしかない筈だ。
(・・・防衛のためには、朝鮮と中国を味方につける必要がある、と、確か明治初年ごろ考えられていたと、読んだことがある。・・・)
追加;江戸時代から、幕府側も薩長も、日本だけで侵略を撥ねかえすことは無理だと思っていて、朝鮮・中国を味方につけ、ゆくゆくはアジア全体が団結するのでなければ、アメリカ・西欧・ロシアの侵略に対抗できないと漠然と考えていたようである。
明治になって、中国も朝鮮も、協力するのには自覚が足りないというか、問題意識の共有が難しいことが明らかとなり、日本が支配するしかない、という方向に変わってゆく。・・・依然として、日本だけで撥ね返すのは無理だ、と。
逼塞するのではなく、発展しないと撥ね返す力は生まれない、そのためには大陸進出は生命線である、と考えていたようである。この日本だけでは無理という考え方は、敗戦まで100年続いた。
文章は読みやすい。
これは、よそ見をしないで最後まで行けそうである。
林房雄という名前は知っていたが、彼の作品を読むのは初めてである。
こんな分かりやすい文を書く作家なら、もっと早くに読んでみても良かったのだが
縁がなかった。