ホッブス

おそらく、基本的なところで、物事の捉え方が変わった。そのことに気づいた自分に、相当の自信があって、書き始めたのでしょう。

神とか社会とかよりも自分の人生。「人生は競争である」と考えるような人々がかなり増えてきていた。そこから見る方が、よく見通せる。

 

【あらゆることにあてはまるわけではありませんが、人生とは競争であると考えますと、

そこにおいては、

 

努力するのは欲求

怠けるのは肉欲にふけること

他人が自分より遅れていると考えれば得意になり

他人が自分より先にいることを認めるのは謙遜な行為。

自分の優先的地位を振り返って譲歩するのは虚栄。

人に抑えられると憎悪の念がわき

過去を振り返るのは後悔すること。

一息ついて安心するのは希望であり

疲れ果てたさまは失意の表れ

自分のまえを行く者に追いつこうとするのは競争心。

人を押しのけ、打倒しようとするのは羨望

眼のまえに現れた障害物を突破しようと決心するのは勇気の表れ。

突然眼のまえに現れた障害物を突破するのは怒りの感情

難なく突破するのは雅量の大きさの表れ。

ほとんど妨害せずに地位を譲るのは臆病心から。

突然倒れるのは泣きたい気持ちから

他人が倒れるのを見ると笑いたい気持ちになる。

そうなって欲しくない人が追い越されるのを見ると気の毒に思い

そうして欲しくない人が他人を追い越すのを見ると憤りを感じる。

他人のそばにしっかりくっついているのは愛の表れ

そのようにくっついてくる人を支えてやるのは思いやり。

焦って怪我をするのは恥

たえず追い越されているのは悲惨

たえずまえの人を追い越し続けるのはこのうえない喜び。

そして、自分の決めた人生の方針を捨てるのは死を意味すること。】p101 102

 

国王と議会が対立し、そこに宗教が絡んで、数年後にはピューリタン革命がおこる。

そのころでも、主流の人々の意識というのは、現代のサラリーマンとさほど違っていない。・・・

大航海時代の幕開けから150年。

そういうところ(ほとんどダーウィンと同じ視線)で、人間や物事を見ていたという事でしょう。

 

・・・・・・・・・

 

神がほとんど力を失って、人が自由に、生きられるようになった。青天井。青い空が限りなく広がる。

束縛するものがなくなると、解放感が凄い。

しかし、すぐにそれに慣れてしまい・・・

 

気が付くと、何かを頼りにしている。それぞれが、それぞれの思いに従って。

 

自分が自分で自分する、笑うのも独り、泣くのも独り。ともに居ても、独り。

これは結構キツイのではないか。

 

だから大抵は家族のため(生きる)。しかし、家族は縛られて、窮屈だろう。

神より近いから、その縛りは、もっと切実。

 

十三夜