薄影と影

【薄影が影にむかって問いかけた、「君はさきほどは歩いていたのに今は立ち止まり、さきほどは坐っていたのに今は立っている。何とまあ定まった節操のないことだね。」

影は答えた、「ボクは(自分の意思でそうしているのでなくて、)頼るところ(人間の肉体)に従ってそうしているらしいね。(ところが)ボクの頼るところはまた別に頼るところに従ってそうしているらしいね。ボクは蛇の皮や蝉のぬけがら(のようなはかないもの)を頼りにしていることになるのだろうか。さて、なぜそうなのか分からないし、なぜそうでないのかも分からないね。」】

 

これは『荘子』内篇のうちの「斉物論篇」の第十二節である。

此処には岩波文庫の第一分冊 p88 を写した。

第十三節は、有名な「胡蝶の夢」である。その直前で、

深く響きあっているような気がする。

 

ボクは、昔から、この「薄影と影」の問答が好きである。いままで、いろんな機会に取り上げたことがある。人に話したことはもっと多い。

 

ボクは、パスカルの「考える葦」という話も好きだが、この「薄影と影」も大好きである。高校生のころ、最初に出会った時からだから、もう50年以上になるだろう。

 

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年末には、大掃除をしていて、気になることが次々と出てきて、つい力が入ってしまったらしい。30日になって、肩こりがひどく、吐き気がするほどであった。一応大掃除と正月飾りは大体済んでいたのではあるが・・・(自分の部屋がまだだった)

31日にはずいぶん落ち着いたのだが、読書をする元気はなかった。元日も2日も肩こりは気にならなくなったのだが読書をする元気は出なかった。(そうそう鼻かぜをひいてしまったのでした。おそらく疲れから)

やっと昨日、本に手を出す元気が出てきたが、それは『ローマ帝国衰亡史』ではなく、『荘子』であった。

 

ローマ帝国衰亡史』はもう少し元気が出ないと読めそうもない。

体力・気力の衰えを痛感した年末年始でした。