(食べ物などの)好みが変わった??

木耳(きくらげ)しか食べられなくなったお坊さんの話は、以前書いたことがある。

確か、お坊さんが食いしん坊で、もうこのお坊さんの食べ物は尽きてしまっているのだが、寿命が尽きていないので、この世に送り返されて、それ以後は、死ぬまで、木耳しか食べることができなかったというような話である。

 

この話は、まあ、寿命との関連が強烈(むかし、貧乏だった時代に、食いしん坊を戒める教訓として作られた話かもしれない。食いしん坊が木耳しか食べられなくなったら相当つらい)で、そちらを考えてしまうが、それを外してみれば;

ある時から何々しか食べられなくなった、とか、何々が食べられなくなった、とかいう話になり、そういうことは結構あるように思う。

 

ボクの父は、72歳だったかに、突然「味が変わった。旨くない」と言って、煙草を止めた。ボクは、ひそかに、「煙草を止める口実だろう。照れくさいのでああいう言い方をしたに違いない」と思っていたのだが、本当だったのかもしれないと、近頃は思う。本当に不味くなったのかもしれない、と。

 

ボクは最近まで、「出されたものは何でも食べる、えり好みはしない。」という考え方で行動してきた。自分で買うときはともかく、他所で出されたものは全て、そういう心得で頂いてきた。美味しいとか不味いとかは感じていても、それはそれ。気にしないことにしていて、それに慣れっこになっていた。

しかし、最近、どうしても体が受け付けない、あるいは、目が受け付けないものが出てきた。それに逆らって食べると、胃のほうから逆流するような嫌な感じが起こる。

こういうことは、以前にはほとんどなかったことである。

 

ヒトに作ってもらったものを食べている立場の人間としては、申し訳ないような気がするのだが、体が受け付けないものが出てきたからには、仕方ない。ノーはノーというしかない・・・

年寄りが、食べ物のことで嫁につらく当たる話は聞いたことがあるが・・・単に嫁いびりだけではないのかもしれない、とも思う。